今年度から、全国的にテレビCMの取引指標が「世帯」視聴率から「個人」視聴率へと変わりました。世帯視聴率は、一家に一台のテレビを家族みんなで見ることが前提だった時代の指標です。一方、同一世帯内でもテレビが複数台あり違うチャンネルを見る、あるいは一人はテレビを見ているが家族は違うことをしている、といったように、別の行動を取るのが当然となった現代では、個人視聴率がマッチします。
この世帯→個人の変化は、枠の価値を示す指標が、視聴世帯の「量」から、視聴者の「質」へと変化していくことを意味しています。個人単位で視聴率を計測するようになると、特定の層の視聴率(ターゲット視聴率)を見られるようになるからです。放送局は“コア視聴率“を標榜し、若年~中年層の視聴率を重視した番組作り・編成を行い始めました。広告主も同様に、自社事業のターゲット顧客の視聴率を重視し始めています。ノバセルも、一貫して、枠の質にこだわってテレビCMサービスを提供してきました。ただし、ノバセルの「質」はもう一歩踏み込んでいます。どれくらいターゲットの視聴率・リーチを獲得できたか、ではなく、どのくらいのレスポンスがあったのか?で枠の価値を評価しています。
ターゲット視聴率とレスポンスは必ずしも相関しません。例えば、ターゲット視聴率は高くても、番組の注視度が低く、レスポンスが得られない、ということは起き得ます(逆も然り)。広告主がテレビCMに求めていることは、本来は「レスポンス」。ターゲット視聴率が高くてもレスポンスが得られなければ、それは無駄な投資になってしまっている可能性すらあります(もちろん、数日~数週でレスポンスがなくても視聴者の記憶定着により数年スパンで効果が残る可能性もありますが、その証明は極めて難しい)。
これまでノバセルでは、レスポンスベースでテレビCMを評価・最適化するためのソリューションを提供してきました。「ノバセルアナリティクス」という分析ツールのご提供、そのツールを活用したプランニング・コンサルティング、コンサルに留まらずエージェンシーとしてバイイングまで行うサービスも提供し、レスポンス最大化を支援して参りました。一方、広告主様のご要望として、「競合他社のテレビCMのレスポンスを知りたい・比較したい」といった声を多数頂いておりました。
この要望にお応えする形で、2022年4月にローンチしたのが「ノバセルトレンド」です。実際に放映されたCMの全放映データと、大手検索エンジンの「指名検索」データを活用しつつ、独自の仕組み・分析手法(特許取得)を用いて、あらゆるテレビCMの効果を可視化することに成功しています。機能はこの後ご紹介しますが、ローンチ以後、以下企業様にご利用頂いております(公開許諾を頂いている企業様)
最もわかりやすいケースは、企業として(あるいはそのブランドとして)初めてテレビCMを放映されるケースです。先行して放映している(隣接)競合企業の放映結果データに基づいて、クリエイティブ素材の開発、放映枠のプランニングを行うことができます。初めての放映ではないケースでも、自社が挑戦したことがない訴求軸や放映枠に、競合企業が挑戦している場合、その良し悪しを見極めて自社に取り入れることもできます。また、自社の放映結果データが少ない場合には、放映量が多い競合企業の放映結果データに基づいてプランニングすることでより精度を高めることができます。さらに、競合調査の一環として、競合の新商品や新たなCPの初速評価・レポーティングをスピーディに行うこともできます。
今回は、弊社の新サービスのノバセルトレンドの開発背景や機能、ユースケースについてをご紹介しました。今後もテレビCM市場の民主化につながるようなプロダクトに注力